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Absence ~ NOUMENA [ ∟Melodic Death Metal]

 久々のCDレビューは、またもやフィンランドのメロデス、NOUMENAというバンドの今年春に出たアルバム、「ABSENCE」です。 ご存知の方は少ないかな、私も最近知ったバンドです。FINNISHは今年はもう打ち止めかな、と思っていましたが、まだまだ、いい音楽を作るバンドってあるものですね、私にとっては大当たりでした。


バンドについてはあまり情報が無いのですが、1998年結成、CDデビューを果たそうとするも所属レーベルがつぶれてしばらくお蔵入り、その後カタルシスレコードというレーベルでデビュー作だして、更にフィンランドのメタルレーベルとしてはもう有名なSPINEFARM(Nightwish,COB,Charonなどが所属)の兄弟レーベル「SPIKEFARM」(Entwine等所属)の方で2作目の本作をリリース、ということのようです。 (英語力自信なーし!!)

当てにならない誤訳バイオグラフィよりも、音の方です。これはまた、面白いというか格好いい音です。

基本的にメロデスなんですが、80年代の正統派メタルみたいな音を出してます。デスメタルとしては他にブルータルでアグレッシブなサウンドはいくらでもありますので、その点で期待するとNGかもしれませんが、デスボイスによる北欧メタルと思えば、十分以上にハード&ヘヴィで、聴き易いと言えば聴き易いです。

 雰囲気的には、SENTENCEDの「AMOK」、IN FLAMESの「JESTER RACE」、EDGE OF SANITYの「PURGATORY AFTERGLOW」みたいなものを感じましたが、雰囲気だけの話。 私は未聴なのでわからないのですが、初期AMORPHISにそっくりというレビューもどこかで見ました。

 何より特徴的なのが、さすがフィンランド、メロディがとても印象的で素晴らしいのです。 引き出しの少ない私にはどのバンドの音にも例えることの出来ない、個性的なメロディです。

 ヒロイックでキャッチー、哀愁に満ちたメロディではありますが、ハロウィンやラプソディのようなファンタジックなものではなく、もっとストイックな、たった一人で敵に立ち向かっていく孤高の戦士、そんな絵が見えるメロディというのでしょうか。バイキングの戦士ではなく、もっとスマートな、例えばジオングで出撃するア・バオア・クーのシャア・アズナブルのテーマ、みたいなメロディです。って全然分かりませんね。
 トラッドの影響もあるのか、土の匂いも曲によっては僅かながら感じられます。

またもう1つの特徴として、キーボード・シンセが全く入っていませんので、とてもシンプルでソリッドな音にも感じられます。 曲によってはクリアボイスによる歌メロもありますが、基本的にメロディを奏でるのはギターのみ。デスボイスは重低音ドス声(EOSのDan Swanoそっくり)で下のほうで唸っていますので、余計にギターのメロディが耳に入ってきます。時にソロで、時にツイン(ユニゾン)で、全曲ずーっとギターがメロディアスに歌っています。ツインギターと言うよりは”デスボイス”と”ギター”のツインボーカルといっても過言ではありません。

シンセが無いのに、ダイヤモンドダストの煌くがごとく、控え目なキラキラしたものが感じられるのは、メロディラインそのものが輝いているのでしょうか。

 曲の方ですが、上記のような特徴を全曲持っていて、ほぼ全ての曲で唐突にならない範囲でテンポやメロディを変え、静動織り交ぜた曲作りがされており、1曲1曲をじっくり聴ける、珠玉の出来ばかりです。
 このため、さほどバラエティに富んだという感じでもないのに、アルバム通して聴いても全くダレずに、最後まできっちり聴かせてくれ、早送りや曲を飛ばす気に全くならないです。

 

まず1曲目「The End of the Century」、イントロのメロディからして耳が釘付けです。上の「ヒロイックで・・・」といった感触がとても格好いいスピードナンバーです。中間の静かなアコギソロの後に続くディストーションギターのソロが弾きまくりでこれまた哀愁ヒロイックメロディです。この1曲でNOUMENAの世界に引きずり込まれます。

つづく2曲目「Everlasting Ward」はイントロ(主題)のクリアギターによる、美しい叙情的メロディが印象的なミドルテンポのナンバーです。Aメロに相当する部分で、デスボイスの裏で奏でられるギターのメロディもこれまたメロディアス。こちらもトラッドな雰囲気を出しつつ、ヒロイックな雰囲気もあって格好いいのです。

 4曲目「Slain Memories」、女声Vo、デスボイス、男声クリアVoが交互に歌をうたう、ダークなスローナンバーです。女声Vo、男声Vo、どちらもよく通る伸びやかな素晴らしい声で、メインで歌っておかしくない実力を感じます。(男性Voの方は別のバンドでメイン張っていますね) しかも曲の雰囲気にピタリとあっています。デスボイスが苦手な方が聴いたら、全曲彼らに歌わせれば良いのに、と思うこと間違いないでしょう。

5曲目「A Day to Depart」・7曲目「Here We Lie」はこれまた1曲目と2曲目を足したような、ヒロイックで格好良くて叙情的な曲で、サビよりもAメロや間奏のメロディの方がインパクトがあり、またスピーディな曲ではないのに、メロディが疾走感を生み出していて、これが大変心地よいのです。1,2,9曲目辺りと並んで本作の中でもお気に入りです。

6曲目「Prey of the Tempter」では男声クリアVoが歌い込んでいます。メロディだけでなく歌い方自体も民俗音楽をうたうような感じでして、オリエンタルな雰囲気さえ感じます。またメタルっぽい歌い方の時はMetallicaのジェームス・ヘットフィールドにチラッと似た瞬間もありまして、とても個性的です。曲自体はバラードともいえるスローナンバーですが、後半に行くにつれて盛り上がっていく展開は感動的ですらあります。

9曲目「The Dream and the Escape」は、スローなイントロからスピーディなAメロへの展開、中間のクリアギターのアルペジオのメロディがとても美しくて印象的です。 ・・・この曲まで聴いてやっと例えが見つかりました、特にこの曲、このメロディは甲斐バンドの「裏切りの街角」と同じ雰囲気のメロディです。(古過ぎ?) この曲は泣けます、私一番のお気に入り。

10曲目「The Great Anonymous Doom」は女声Voが落ち着いたというより諦念に似た悲しみを、泣きのギターとデスボイスが慟哭ともいえる激しい悲しみを、それぞれ交互に表しているような、美しくも悲しい曲です。

 全体的にミドル~スローなナンバーが多いこともあって、やはり聴きこむ類のメタルかと思います。デスボイスが駄目な方は、ギターメインのインストのアルバムと思って聴くといいかも。

曲目:

1. The End of the Century
2. Everlasting Ward
3. The First Drop
4. Slain Memories
5. A Day to Depart
6. Prey of the Tempter
7. Here We Lie
8. All Veiled
9. The Dream and the Escape
10. The Great Anonymous Doom

http://www.thenoumena.com/

以下で試聴できます。(オフィシャルの「The End Of ・・・」はリンクありません泣)

http://www.thenoumena.com/media.php#samples
http://www.amazon.de/exec/obidos/ASIN/B00099BRPO/qid=1134137122/sr=1-1/ref=sr_1_8_1/303-0918494-8468224

AMAZONで売ってなーい! HMVでもない!どうしてこういう名盤を置かないのだ? というわけでもし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、輸入盤を置いてあるショップで探してみてください・・・ ちなみに私は例によって東京出張のついでにお茶の水のDISK UNIONでGETしました。

お気に入りの度が強く、またついつい長くなってしまいました。お付き合いありがとうございます。

 

<今日のチョコ>

 
森永製菓:DARS ジャンドゥーヤ・ノワール
ビターチョコかと思いきや、思い切りヘーゼルナッツの甘さが口いっぱいに広がるあたりは、デスといいながら思い切り哀愁メロディ満開の本作「ABSENCE」のようです。

 


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鎚鋸

シャア・アズナブルのテーマですかw
ファンタジックさに「あんなの飾りです」とか、
「今の私にはガンダムは倒せん」みたいな
哀愁さなのでしょうか(妄想

メロデスはCOBから流れ着いた駆け出しなので、
こちらも興味深いですよ~。
by 鎚鋸 (2005-12-12 00:40) 

stromblad

>鎚鋸さん
コメント&niceありがとうございます。
 「シャアのテーマ」という例えは書いておきながら私自身はなはだ疑問ではありますが・・・勧善懲悪のアニメソングみたいな軽さがない、他に頼るものの無い中たった一人で男の意地を通す、そんな雰囲気のヒロイックさ、そんなヒーローの哀愁みたいなものを感じました。・・・ってまだ分かりづらいですね。 文章で上手く表せるだけのボキャブラリの少なさが恨めしいです(泣)
 COBよりもずっと普遍的なメタルに寄った音楽ですので、メロデスの聴き始めとしては更に向いているかと思いますよ。
by stromblad (2005-12-12 12:19) 

気合入りまくりのレビューですね。ガンダム見たくなってきました。(笑)
試聴しましたが、確かにSENTENCEDの「AMOK」やAMORPHISの「TALES FROM THE THOUSAND LAKES」に通じるものがありますね。特にAMORPHISは土着的な要素が強いので、似ていると感じるのかもしれません。読み応え満点でした。
by (2005-12-12 21:39) 

stromblad

>ファランさん
niceありがとうございます。いやあ、この記事は今読み返すとボキャブラリの無さが顕著にわかる文章で、ちょっと恥ずかしいです・・・
やっぱAMORPHISに通じる部分がありますか。 それではまたの機会にAMORPHISも聴いてみたいですね。初期はもちろん、がらっと変わってしまったという最近のも聴いてみたい気がします。
by stromblad (2005-12-12 22:04) 

Rouis

お久し振りです!遅くなりましたが、メリークリスマス☆(笑)


おおっ!確かにAMORPHISっぽい!
こういう向こうの民謡の影響を感じさせる、クサクサメロディいいですよね~

AMORPHISなら、3rd"ELEGY"がオススメです!

メロデス黎明期を支えたバンドでありながら、
この時点で既にクリーンVo.を迎え入れるという先見性も。

更にKey.を導入している、、、と書くと、
近年のSOilWORK的なサウンドをイメージするかもしれませんが、
AMORPHISのそれは、寧ろ70'sプログレの延長線にあります。

とにかく完成度でも、そのスタイルでも、メロデス史上に残る空前の名曲
"On Rich and Poor"は必聴です!!!
by Rouis (2005-12-28 15:29) 

stromblad

>Rouisさん
こんにちは、ご無沙汰です。また来ていただけて嬉しいです。 こちらからもAmorphisお薦めの声が!! これはもう聴くしかないですね。探してみま~す
by stromblad (2005-12-29 17:33) 

ちぇぶらさん

 こんにちは。(^_^) NOUMENAをチェックしにまいりました。私もThe Dream and the Escapeが好きです、なるほど甲斐さんか...(笑)。フィンランド人の友達のおすすめで、その人いわく、FINNISHはまだFINISHじゃないそうで...(笑)。かなり後に控えている有望なグループがいるようですよ。まだまだFINNISHパワーはこれからも健在な様です。(*'_'*)
by ちぇぶらさん (2006-01-15 08:31) 

stromblad

>ちぇぶらさん
NOUMENAもご存知&フィンランドのご友人もいらっしゃる・・・ちぇぶらさんって業界の方でしょうか、凄すぎです。
FINNISHはFINISHじゃないですか(笑) 昨年有名どころが皆アルバム出したので今年はどうかとちょっと不安でしたが、そういうことなら今年もまめにチェックして楽しみにしたいと思います。さしあたりはSOULRELICの新譜が楽しみです。(入荷待ち、国内版の発売まで我慢できませんでした)
by stromblad (2006-01-15 21:38) 

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